2026年10月26日、OpenAIは調和解析、計算量理論、量子場理論における社内モデルの3つの成果を発表した。計算機科学における中心的な主張は、多くの研究で条件付き計算量評価に用いられる指数時間仮説(ETH)の反証だ。同社は論文とLeanによる形式化を公開し、外部の理論研究者グループが結論のさらなる検討を取りまとめている。

10月26日のOpenAIの発表によると、モデルは10月16日にETHの反証を定式化し、翌17日に結果をLeanで形式化した。この研究は、固定されたkに対するk-CNF式の充足割り当てを正確に数える、決定性の劣指数時間アルゴリズムを記述している。結論が科学的検証に耐えれば、複数分野の問題に関する条件付き計算量評価に影響する。
Leanが検証する内容
公開されたETH形式化の適用範囲に関する文書は、機械検証の正確な範囲を定めている。固定されたkについて、標準的に符号化されたk-CNFの解を決定性機械が正確に数え、劣指数時間かつ多項式空間で計算できることをLeanが証明する。10月25日付の論文では、形式化された主張より強い時間計算量の評価が示されている。
つまり、形式的な結果が対象とするのは、特定の問題設定、符号化、資源評価である。Leanは定められた形式体系の内部で証明を検証する一方、専門家はその主張とETHとの関係、論証の記述、科学的な新規性を評価する必要がある。したがって、現時点での実際的な位置づけは、形式化と外部検証を伴う、検討用に公開された反証の主張だ。
研究を検討する人々
OpenAIによると、ETHの結果を検討し説明するグループは、ラッセル・インパリアッツォ、ラマモハン・パトゥリ、ライアン・ウィリアムズが率いる。インパリアッツォとパトゥリは、フランシス・ゼインとともに当初の仮説を提唱した。理論計算機科学コミュニティに宛てた研究者らの書簡では、グループへの参加は結論の確認とは区別されており、結果には慎重な検討が必要だとしている。OpenAIによると、同グループは元資料へのオープンアクセスと、研究の含意を議論する会議への資金提供を求めた。
2つ目の成果は、波動方程式に関する局所平滑化予想を扱う。OpenAIは、あらゆる次元で証明を得たとし、カケヤ予想およびフーリエ変換に関するスタイン予想への帰結と結びつけている。同社は結果の本文と、そのLean形式化の適用範囲に関する説明を公開した。証明の内容とその帰結については、数学者による評価が必要となる。
物理学の成果は異なる形で公開
物理学では、OpenAIは量子色力学や純粋ヤン=ミルズ理論を含む、4次元の相互作用する量子場理論の一部について、存在証明を得たと発表した。デイヴィッド・グロスが率いる外部グループは、モデルが作成した資料を今のところ公開せず、独自の説明を準備することにした。そのため、この成果については、ETHや局所平滑化の資料と同じように、読者が公開済みの証明資料を検討できる段階にはない。
ヤン=ミルズ理論の存在に関する主張は、クレイ数学研究所のヤン=ミルズ理論と質量ギャップの問題に関係するが、両者は同一の主張ではない。クレイ研究所の問題では、量子ヤン=ミルズ理論の存在と質量ギャップの存在の両方を証明する必要があり、研究所はこの性質の証明はまだ知られていないとしている。
計算機科学者にとって、次に具体的に取り組むべきことは、ETHの形式化を付随する論文や独立グループの結論と照らし合わせることだ。OpenAIは、さらに高速なアルゴリズムを探し、理論的な改善を実用化するには、今後の作業が必要だとも述べている。10月26日の主なニュースは、科学的成果に関する3つの主張が発表され、資料へのアクセス状況と検証手順がそれぞれ異なることだ。科学における位置づけは、今後の研究者による分析によって決まる。