9月30日、DeepSeekはHuaweiとAscendアクセラレーター向けツールの開発に取り組んでいると発表し、関連するソフトウェアコンポーネントを公開した。これは代替ハードウェアプラットフォームの開発に向けた一歩だが、本番システムでCUDAやNvidiaに取って代わる準備が整ったことを示すものではない。今回の分析日である2026年10月2日から見て、発表は直近24時間以内ではないため、「最近のニュース」と呼ぶのがより正確だ。
Reutersの報道によると、発表の対象はHuawei Ascend向けのインフラで、TileLangと計算・チップ間通信のライブラリが含まれる。Reutersはまた、Ascend 950チップ128基を搭載したスーパー・ノードを共同開発するとの発表を伝えている。これはプロジェクト参加者による発表であり、確認した情報源には、このシステムと同等構成のNvidia製システムを比較する独立した性能評価はない。
公開されたもの
DeepGEMM-Ascendリポジトリでは、Ascend 950とBF16、FP8、FP4演算への対応がうたわれている。このプロジェクトは、API互換のライブラリとしてDeepGEMMを位置づけている一方、たとえばAscendではスケーリング係数の保存形式がNvidiaと異なるなど、相違点も明記している。動作環境として、文書にはCANN、torch_npu、Bishengコンパイラーが挙げられている。したがって、インターフェースの互換性は、各プラットフォームの特性を考慮せずにコードを移植できることを意味しない。
同じリポジトリでは、Ascend 950DTでの独自測定結果も公開されている。これらはプロジェクトによる結果であり、実際の本番ワークロードにおける性能を独立して検証したものではない。
DeepEP-Ascendライブラリは、Mixture-of-Expertsモデルを含む、学習時および推論時のデータ交換を目的としている。その文書によれば、測定にはDeepSeekに提供されたハードウェアとソフトウェアのテスト版、PoC HDKが使われ、追加の手動チューニングも行われた。この構成は一般公開されていない。Huaweiは商用HDKを2026年10月中旬ごろにリリースする予定としていた。これは文書に記された計画であり、リリース日の確認情報ではない。
TileLangも今回の発表で初めて登場したわけではない。TileLang-Ascendの履歴によれば、プロジェクトは2025年9月29日にオープンソース化された。今回のニュースは協業の新たな段階と関連ライブラリに関するものであり、TileLangを一から立ち上げたという話ではない。
まだ証明されていないこと
プログラミング言語によって計算カーネルの開発は容易になる可能性があるが、プラットフォームを実用上置き換えるには、コンパイラー、ライブラリ、デバッグツール、フレームワークのサポート、そして入手可能なハードウェアも必要だ。公開リポジトリからコードや提示されたインターフェースを調べることはできるが、本番ワークロードをAscendに移すのがどれほど簡単か、あるいは低コストかまでは分からない。
DeepEP-Ascendについては、テスト条件に関する但し書きが特に重要だ。公開された数値は、一般公開されていないテスト構成で得られたものだ。個別の演算に関する測定は、再現できたとしても、それだけではシステム全体の安定性や総合性能について答えを示さない。
確認されているのは、コードの公開、文書、そして記載された環境要件だ。一方、新しいライブラリの性能、発表された構成の幅広い入手可能性、既存のワークフローへの導入の容易さは、独立したテストではまだ確認されていない。
したがって、今回の発表はAscendを取り巻くソフトウェアエコシステムを強化する試みと捉えるのがより正確だ。商用環境が利用可能になり、独立した再現可能なテストや、実際のワークロード移行に関する詳細な報告が出てくれば、これらのツールの実用性がより明らかになるだろう。現時点では、ソフトウェア層をめぐる具体的な一歩ではあるが、CUDAに取って代わることが証明されたわけではない。